健は別室へと誘導されてしまい、キタローもまだ一向に取調室からは出てこない。



「事が少し大きくなりすぎてしまいましたね…」

まさか国体前日にこんな警察沙汰になるなんて…とさすがの新米斎藤も、深刻そうにうつむき二人は警察署の廊下で待っていた。


未茉はその二人から離れた床に座り込み怒りで震える唇を噛みしめていた。



「関係あるかないか分からないですけど…、白石を襲った男の子、代議士の息子さんみたいです。」
「え…」
婦警官がそう話してるのを聞こえた。と斎藤が神崎に言った。
息子が発端だってことも知らずにただ北君に殴られたって一方的に被害届を警察に出したんじゃないか。と小さな声で憶測を立てていた。


「「先生!!」」

背後からバタバタと足音を立てて息を切らしやってきたのは、話を聞き付けた莉穂と和希、橘と結城と翔真が野村監督の車に乗ってやってきた。

「お前ら!!まだ文化祭の途中じゃ…」
「だって気になるじゃないっすか!?白石は!?」

出場停止かもしれないとなれば、駆けつけずにはいられないと無我夢中でみんなでここに来ていた。

「未茉…!」
離れたところに一人床に座り込む未茉に気づき、莉穂は駆け寄り、
「大丈夫?怪我はないの?」

「…ねーよ。」

顔もあげずに項垂れたまま、苛立ちをかくせないままそう答えた。
「なに…一体なにがあったの?」
状況が全く把握できない上、ただならぬ空気感に包まれていた。

翔真はそんな未茉の様子を遠目で感じ、近づくこともなく辺りを見渡し、気になったことを尋ねた。


「健さんは?」

「…今、警官に連れてかれて」

「「え、?!」」
神崎の声を詰まらせたような返答になぜ健さんが?!という疑問に一同は声をあげた。