「北君には、暴行を加えられた被害者の方から被害届けが出ている。」


「はっ…!!?」
一瞬何を言ってるか理解できなかった未茉だったが、健は嫌な予感と共に聞き返した。
「あの、被害者って誰のことでしょうか?」


「北君に殴られた被害者の男の子の方だよ。」



「はぁぁぁああ!!?」
あっさりとした返答に未茉は我が耳を疑った。

「君は被害者の男性とは合意の上でわざわざ二人きりになりたいと教室にこもったんだろ?そこに北君がジェラシーを感じて殴りかかり、怪我を負わせた。」

「はぁ!?ちょっと待てコラこの馬鹿警察何ほざいて」
「やめろ!未茉」
掴みかかる勢いの未茉を必死で健は止めながら、

「君、口の聞き方も気を付けた方がいい。」
まるで脅迫するような言い方に健は違和感しかなかったが、気持ちを落ち着かせるため息をついた後、

「…お相手の被害者の方とお話をさせて貰えませんか?」

「建兄!!?なに言ってんだよ!?被害者はあたしだろ!?聞けよ警官!!!あの男が二人きりになりたいって無理やりあたしを引っ張ったんだ!!キタローはそれを助けてくれただけで」

「分かった、君にも参考人としてあとでゆっくりお話は聞くから」
まるで相手にはしないと言わんばかりに冷たくあしらおうとする警官に、

「待てよ!!なんだその言い方!!!」

ーーバンッ!!!
思わず警官の腕を引っ張り壁に叩きつけた。

だが未茉のその手は健によって引っ込められ、庇うように前に出て思いっきり警官に拳を上げて殴った。