「あんたの今の引き金は何?湊?それとも神崎?」
「…説教とか、やめてください。」
「別に説教なんかしてない。逃げ道がどこまで続くのかなって聞いてるの。」
小馬鹿にしたような笑みにユリは睨み返した。
「逃げ道ってね、行き止まりがあんのよ。ちゃんと。」
「…」
「なんでだか分かる?逃げ道っていうのは自分が自分で作ってるものだから、結局最後は自分に追い詰められるの。」
「……」
「だからね、絶対に逃げられない。自分が自分でなくならない限りは。」
どうして田島なんかがそんなこと分かるのか。って思った。
小学校のミニバス時代から近隣に全国大会常連の女の子がいるってそれが田島だって、この辺で知らない人はいなかった。
ほぼ毎年のようにタイトルを獲得してるこの人が挫折とか逃げ道とか無縁の気がした。
「ああ、無縁よ。私は逃げたことなんかない。」
「!」
心の声が聞こえたのかと思ってユリは驚いた。
「バスケじゃないけど、一つだけ誤魔化してることはある。」
「…」
「だからあんたのどうしようもない気持ちも分からなくもない。」
「まさか…マイクですか?」
まさかと思ったことを口にしたが、未だに未練があるなんて半信半疑だった。



