「で、お前は被害者なわけ?加害者なわけ?」

保健室にいた健に未茉を見るなり、呆れた顔で言われた。
喧嘩を止めに入った未茉までかすり傷をおい、絆創膏を貼っていた。

「だってよ、急にキタローがいきなり殴りかかって」
「っーか、その前になんでお前そんな客とどっか行ったわけ!?」

「なんか午前中から並んでたんだけど、あたしと写真取れなくて、わざわざ地方から来たから二人きりで少しでいいから写真撮ってサインくれないかってお願いされてよ。」

「はぁ?!なんだよそれこえーじゃん」

「あぁ。怖かったよ。っーか目もイッちゃってた感じで。誰もいないとこ行きたいって言われて引っ張られてよ。」

思わず唖然とした。
未茉は淡々と話すが、普通に怖い話だ。


「ていうか、白石は大丈夫なの?怪我ないの?」
保健室に一緒にいた女バス三年の元キャプテンの鈴木が心配そうに尋ねると、
「ああ、全然。なんかああいうの変に刺激するより、いいなりになった方がいいかな。って。別に悪い人じゃなさそうだし。」

「バカかお前!!襲われたらどうすんだよ!?」
健が立ち上がり怒鳴りこむも、
「そしたらその時はあたしがグーパンチをお見舞いしてやるとこだぜ!!」
シュッシュッと手振り身振りしてボクサーポーズを真似してると、

「本当にバカかお前は...」

こちらも鈴木と一緒にいたカップルのマイクが呆れていた。