「おい・・・なんだそりゃぁ・・・」

青ざめる二人はひきつきながらキタローを見た。


「はぁっ!?白石さんと湊君に一票入れたら、なんでも湊君に言うこと聞いて貰える?!」
それを聞いていた椎名が、キタローが配っていたチラシを奪い、大きな声で読み上げ、
「え、なにそれー」
休憩中の女子達が集まってきた。


(椎名…)何か魂胆があるのかと疑惑の眼差しをキタローが椎名に送っていると、

「なっなによ!!怖いわね!!別に白石さんと湊君のことを応援してるわけじゃないから!!私は湊君を応援してるだけだから!!」
真っ赤になって否定する椎名の遠くへと視線を送り、


ずだだだだだだだだっ…!!!
突然、廊下のずっと奥を見つめ風のように走り始める。
「えっちょっ…」


「おわっ…なんだ、アイツこえぇ…」
校舎の廊下を物凄い形相に下駄で走るキタローに、生徒達や一般客も驚いて振り向く。


「白石…」

キタローは、校舎中を一心不乱に走り探し回っていた。
「白石知らないか?!」
「きゃああっ…怖っ」
なりふりかまわずすれ違う人の肩を鷲掴みしながら聞いてくと、

「白石ならさっき誰かに引っ張られながら変だなと思ったんだけど…」
「えっ!!?」
目撃者がいて、文化祭中は立ち入り禁止のロープが囲われた校舎の方を指指した。



「白石…!!!」


ロープを飛び越え、片っ端から教室の扉を開いてくと、キタローは未茉の居場所を突き止めたが、

「キタロー!?」

教室のドアを開くと、未茉は男とスマホで写真を撮って、雑誌にサインをしてあげていた。

キタローには隣にいた男には見覚えがあった。
さっきチアの時にインターハイ予選の雑誌を握りしめブツブツ独り言を言ってたその男だ。


「大丈夫か?」

「んあ?大丈夫だぜ」といいかける間もなく、

ドァアンガッシャンガラガラガラッ!!!


「きっキタロー!!!」
その男を勢いよく殴り飛ばしぶっ飛んだあげく壁に激突し、強打した。

もの凄い破壊音をたてながら。