「あ…あの…演奏中はお静かに!!」
まさかの二人の言い合いにあわてふためく生徒達を無視し、二人は続けた。


「俺の気持ちはどうなる?」
「…」
「未茉ちゃんを好きな俺の気持ちだよ。」
「…」
「なんでユリの気持ちは組みとって俺の気持ちはおざなりなわけ?」


ずっと好きだった。
ずっと彼女だけを見てきた。
ずっと彼女だけを追ってきた。
どんな時も何があっても。

彼女しか目に入らなかった。

いつだって。
今だって。
こんなひどいこと言われてるのに。

彼女しか見えない。
彼女しかいらない。


「死ぬって言うんだよ!!仕方ねーだろ!?」
「それはずるいだろ!?」
今まで自分にはしてこなかった強い物言いにさすがの未茉もビクッと驚いた。

「それを言われたら俺の気持ちは?!」
「は?!」
「だから説得しようとずっと」
ユリと話してたのに…といいかける言葉もむなしく思えてきた。


「…未茉ちゃんは俺の気持ちを軽く考えすぎてるよ…」

“この温度差…”

それが辛すぎてーー、心が死にそうだ。


「簡単に俺の気持ち決めるな。」

睨まれるよりもきつい視線だった。
握られていたその手がするりと離れていった。
同時に翔真も離れていった。