「わぁあっ!!先程熱い告白された湊君!!噂のカップルですね!どうぞどうぞ!」


案内係が校内を騒がす噂の二人を見ると、嬉しそうに薄暗くアロマろうそくで彩られた教室の中へと案内する。
「素敵な二人へのラブソングをプレゼントしますね!」

椅子に並んで腰かけると、ふわっとした黒い衣装に身を包んだベルの奏者達が、
「二人の恋が上手くいきますように。」
そんな祈りを込めて微笑むと、廊下の騒がしい声が聞こえなくなった。


リン…

優しいベルの音が二人を包むように響き渡った。

互いの顔も見ないまま、ただ真っ直ぐに演奏者を見つめていた。


耳を澄まして。




「…やっぱ振られるの?俺」


聞こえてきたのは、翔真の不安だった。


隣で肩を並べて雰囲気でも分かった。


「話はえーな。」
簡潔にまとまったように真っ正面を向いたまま答えた。


「翔真、ゆりと一緒にいてやれ。」


ーーガチャン…!!
その時、謝って床にベルを落としてしまった演奏者が、
「すっ…すみません」
謝ると未茉はこのタイミングで立ち上がり、出ようとした。