「三上、どうかしたの?」

だが教室に戻ってきた三上のすぐれない顔色に翔真はすぐに気づいた。
「…いや」
(翔真には隠しても無駄か…)


「翔真、ちょっといいか?」

こんなタイミングでチアから戻ってきた未茉が気持ちを固めた表情を浮かばせながらやってきた。

(白石…)
今さっきまでの経緯をどう伝えるか言葉を探す三上に対して、

「どうした?」
「…いや、戻ってきたら話ある。」
「そ?わかった。じゃあとで。」

「…」
白石が告白すると張り切ってたのに、付き合わねーと前園に言っていた。
楽しみにしていた翔真の横顔を見ると辛くなり、自分らしくない空回りに三上は、酷く胸を痛めた。


「翔真、回ろうぜ。」

「え」
「椎名さんが交代してくれるっつーからよ。」
誘われてるのに、しかめっ面の未茉のいつもとは違う声のトーンに足を止めた。

「俺、未茉ちゃんが行きたそうなとこ…」
「結城がハンドベル行けっつーからよ、そこ行こうぜ。」

「…」
並んで歩くわけでもなく、一人先に足早に歩いていってしまう未茉の後を翔真はゆっくりと着いていった。