「でもそんなんでいちいち死なれたら困るから、お前の望み通りにしてやる。あたしにはバスケがあるからな。」
「……」
「いいか?これは約束だからな?お前、明日バスケに戻れよ。」
ーーバン!!廊下に響き渡るような音を立てて未茉は理科室の扉を閉め出ていった。
しばらくその場に立ち尽くしていると、ガラッ…と扉が開き、入ってきたのは三上だった。
「本当は盗み見聞きとかするキャラじゃないんですけど、どうしても一つ言いたくていいですか?」
「…」
こんな後味の悪いとこを見られ罰が悪くユリは俯いたままだった。
「昨日翔真がどんな話を前園さんにしたのかは分からないですけど、多分相当辛いことを伝えても、それは翔真も同じくらい辛かったと思います。それを分かって欲しいです。」
「…」
「友人として見ていても、最近の翔真を見てると正直辛いんです。」
「…わかってる…わかっ……て」
“お前は翔真を幸せにできるのか!?”
涙が溢れた。
白石に叩かれた時、伝わった。
同じくらい翔真のことが好きだって。
それなのに私は…
“分かってる”本当に分かってるのだろう。分かってるからこそ、辛くもがいてしまう。
渦巻く思いが胸の中を締め付けるように駆け巡る。
行き場のない思いが破裂しそうになる。
こんな自分が嫌い。
こんなことしかできない自分が嫌い。
こんな自分なんかもう誰も必要としてくれない。
“先生も”“翔真も”
全部白石に持ってかれる。
「…はぁはぁ」
胸を押さえつけながら呼吸が不自然に上がってくユリに
「え、前園さん…?」
ただの泣きじゃくりじゃないって、それは三上にも分かった。