「おいっ!!こら翔真!!お前の番だろーが!!疾走中!!」
発見したとばかりに結城は、戻ってきた翔真を取っ捕まえた。

「ようやく戻れた・・・」
結局マイクに捕まり、散々の対戦をしぐったりとした様子で帰還した。

「つーか、噂んなってるぜ!体育館で告白したってな。」
やるじゃん。とニヤニヤといじられるも、視線の先に飛び込んできた光景に驚いた。


「いらっしゃいませぇー疾走中でぇーす!!」

クラスの模擬店前では、ユリが呼び込みをしていたからだ。

「ユリ、俺が代わるから。」

メガホンをユリの手から翔真は取り、驚いて次第に俯く彼女に対し、

「昨日ちゃんと話したはずだよ。もう学校にも家にも来ないでって。」
「…」
「もう俺はゆりにしてあげられることもないよ。」

決して見せないような彼の冷たい言葉や視線にユリは驚きを隠せなかった。
それでも受け入れてくれる優しい彼だと思っていたからだ。
人を冷たく突き放したり拒んだりしない温厚な翔真に結城だって驚いた。


「ってか彼女ヅラやめなよ。湊君も迷惑じゃん。」
「そうそうー。信じらんない。痛すぎ。」
そして追い討ちをかけるようにさっきの告白を聞いた女子達が、思わず口を挟んでしまうと、


「好きって…頑張っちゃいけないの…?振られたら追いかけちゃいけないの…?」

誰もが通りすぎる中、突き刺さるような言葉を浴びせられ大粒の涙をポロポロとこぼして翔真を見上げた。