「しかし偉いじゃん。真面目に呼び込みとは。あ、食いながらかよ。」

「むっ!?まぁな!通りかかったらめっちゃくちゃ繁盛してたからよ!手伝わねーと!」
ありとあらゆる模擬店でテイクアウトしてきたご飯を口に頬張る未茉に、
「健兄わざわざ来てくれたのか!?」

「和希と来いってチケくれたんじゃん。」
「え?そうだったけ?」
すっかり忘れていた未茉の背後から、

「やだぁー!!もうっ!!白石さんってばっすっとぼけちゃってぇ!!」
バシッ!!と後ろから背中を相沢に叩かれ、
「ぶほっ!!」とむせると、

「本当はぁ~ベストカップルに健さんと選ばれて幸せになりたいくせにぃっ!!正直に言いなさいよぉ!!」

「はぁっ!?」と相手違いの発言に未茉は思わず喉にパンを詰まらせるも、
「へぇ。そうなんだ。」
全てを見透かしたようにニヤニヤと健は笑うと、背後からの妙な視線に彼だけは気づき振り向くと、

「……」

その真っ直ぐな視線の先には何も気づかず笑う未茉がいて、
(なんだ…?)
その男の顔を見ようと健は遠くを除き込もうとサッとその男は人影に隠れ消えていった。

「…お前、気を付けろよ。」
それは健だけが感じた妙な視線に、
「え?何?」
「知らねぇ奴に着いてくなよ?こんなちゃらついた格好してよ。」
ぴらっとルリちゃんミニスカートをめくると、
「なんだパンツ履いてんのか。」
「パンツ穿くのあったりめぇだろうがっ!」

「やだぁぁあっ!!ちょっと見せつけすぎですよー!!お二人とも!!私たちはみーんな二人に投票しといたからねっ!!」
心配ご無用と肩を抱き小声で耳打ちされるも、
「ちょっと待てよ相手がちげーだろうがっ!!あたしは翔真と…」