「湊と未茉が?」
「ああ。静香ちゃんの話だと」
自分の部屋に戻ってきた匠が、机で一人読書をする健にそう話を切り出すと、
「ぷっ。」
吹き出したように笑いだし、
「え…なんだよ・・・」
「ねーよ。まだ。」
深刻な顔で自分に助言を求める匠に思わず笑いを堪えながらも、否定する健。
「まー、隠れてキスしたりいちゃついたりしてるみてぇーだけどな。」
「そっか……」
「さっきも部屋でいちゃついててマイクがキレてたらしーぜ。」
パタンッと読んでいた本を閉じると、匠は健の様子を伺うように見つめると、
「未茉はてっきり健のことが好きだと思ってたから。」
「んー。まぁ好きだったんじゃねーか?」
「いいのか?それで。」
あまりにもあっさりとした他人事に近い健の返答に匠の方が戸惑い尋ね返すと、
「まあ、面白くねぇっちゃ面白くねーけど未茉は湊のこと好きなんだろ?だったら仕方ねぇじゃん。」
「ずいぶんあっさりしてるなぁ・・・昔から誰よりも好きだったのに・・・。」
「そりゃその気になりゃ余裕で奪えるぜ?」
どこか自信ありげな健は得意げな顔でそう言い放つも、
「ただ俺、その前にマジで颯希さんを越えてぇーんだよ。」
「……!」
「バスケで颯希さんが作った記録塗り替えるためにあえて王子に入ったからさ。本来なら高校で全国大会9冠取りたかったし。」
「健……」



