「湊君!」
多目的ホールでは当番の男子達が衣装に着替え始めているところに椎名は呼び止めた。
「あ、椎名さん。」
「これ。」
せめてもの償いにと思ったのか、ハンターのマントを差し出した。
「え?俺の?」
「白石さんが縫ったのは、ほとんどほつれてたし縫い直しだったけど、この一着ならまぁなんとか着れるかなって感じの。」
「そうなの?」
受け取って見てみると確かにあちらこちら妙な糸でほつれ縫製もむらだらけだったが、翔真は微笑んだ。
「ちなみに湊君が今着てるのも、他のみんなが着てるのもユリさんが縫い直してくれたやつ。」
「…」
「じゃあ。」
ぶっきらぼうに椎名がそう言い立ち去ろうとすると、
「ありがとう!椎名さん。嬉しい」
こっちがびっくりするくらい大事に持って子供のような無邪気な満面の笑みで微笑む翔真に、
(なっ・なっ・なんてギャップ萌え!!!)
しゅるるるっ~~~と全身の力が抜け、腰抜けそうになる顔面真っ赤な椎名は、壁にもたれ掛かり鼻血が出る寸前でいると、
「ん?」
妙な視線を感じ振り返ると、こちらもギャップの凄い調理部の仕込みのエプロン姿のキタローの鋭い視線が返ってきて、
「うわっ!!なになんなのよ!!」
びっくりして翔真スマイルの余韻が吹っ飛んでしまった。
「俺も白石のがいい。」
代えろと目で訴えられた。
「・・・・。」



