例年、明徳高校の文化祭の日は祝日ということもあり、多くの他校生や家族や友人で多くの来校者が訪れる。

パァンッ!パァンッ! 
花火の音が雲ひとつない晴天の秋空にこだました。


「うっわぁーいっ!!!たっのしそーー!!」

お祭り大好きな未茉はいつもとは全く違う校舎の装飾と屋台とこの賑やかな雰囲気に跳び跳ねて喜ぶ。
「くんくんくんっ」
正門から校舎にかけての一本道にびっちりと屋台が立ち並び、会場前の仕込み中、あちらこちらから漂ういい香りに胸を踊らせる。

「何食べよっかなぁ~~♡♡♡」
プログラムを見ながらさっそく行けるとこをチェックしてると、
「お前そんな時間ねーだろ!俺ら実行委員だからな!!」
「えーー!!!」
「えーー!じゃねーだろ!!えーーじゃっ!!てめぇが実行委員に俺らを道連れにしたんだろーが!!!」

いつものように結城にキレられてる未茉を見て

「おはよ。」
翔真がよしよしっと未茉の頭を撫でながら、教室に入ってきた。
最近にしては珍しくいつものふわっとした甘く優しい空気だ。

「あ、翔真。」
「ん。」
顔を見上げるともう実行委員の打ち合わせに行ってきたのかすでに忙しく動いていたようだ。

「結城、悪いんだけど夕方一回男バスの当番代わってくれない?」

珍しく翔真が自分にそう頼み込んできたので少し驚くも、
「おお、いいけど…」

「ありがとう。よし、この時間ならお互い空くから未茉ちゃん一緒に回ろうよ。」

プログラム表をのコマを指差しながら翔真は提案すると、
「おうっ!!やったぁあっ!!どこ行く!?どこ回る!!?」
ぱぁっと嬉しそうに未茉は目を輝かせ、翔真の背中に手を回し寄りかかりながらくっつき、尻尾振ってご満悦そうにプログラム表を見る。