(今すぐ押し倒されても大丈夫やなっ・・)静香は自分のベッドの位置を入念に確認するも、

「はぁ……」
額を抱えながら更に深いため息を匠はつくと、
(焦っとるっ!!!さすがに年下の幼馴染みに先越されたゆーのは焦りがあんのか・・・)

「ごめんね。静香ちゃん。また来るよ。」

「!!!」

(で・・・出直しっ!!?まさかの出直し!!?)

雷に打たれたような衝撃に静香は気が抜けると、
「あわわわわわ・・・」
(煽らせてしもうたか!!?焦らせすぎてしもうた・・・!!!うちとしたことがっ・・・・!!!!)

「うちのばかぁぁぁぁ~~~~!!!!」

静香の悲鳴が茨城の森林に響き渡る頃、

「あ・・・?」

部屋に戻ろうとした未茉のスマホには静香からのLINEが届いていて

【匠さんが来とる!!!あと二時間くらい部屋に立ち入ったらあかんで!!!】

「なっんだこのクソメールは・・・。」

と言いつつも、親友の恋を応援してあげると言ってしまった手前、
「部屋に帰れねーじゃねーか。」
未茉は渋々引き返し、体育館へ向かった。

「やるかー。自主練」

二時間ならちょうどいい時間だと体育館を覗くと激しいバッシュ音とボールの音が響いていた。
見ると王子と大成男子の補欠部員達で練習さながらの激しい自主練を監督不在の中やっていた。

「あ、早乙女。」

中でも一際目が引いたのは、自分よりも15cmは高いであろう相手に気持ちの入った熱いディフェンスだ。

「白石さん……」
練習よりも息を切らしてかいた汗を拭う早乙女がこっちに気づき微笑んだ。