「ぬぁぁあー!!!腹減ったぁぁ!!!」
朝練後、キタローおにぎりを貰って教室に戻ってきて、「よっ!」といつもこように机の上に座り足を広げて腹ごしらえを始める未茉に、

「白石ぃ~足広げんなよなぁ!!」
いつものことだと分かりつつ、いつもの返しをする結城に、
「お、うまそーなパンじゃねーか!一口よこせっ!」
「おまっ・・!!人のパン勝手に取んなよ!!」
「しゃーねーから、ジャムパンくれてやるよ!ほらっ!」
「んだよ・・あっ!てめぇっ!全然もうジャムついてねー端の方をよこしやがって!!!かえせ!!俺のパン!!」
「ひゃはははっ!!!!」


「・・うるさい・・・。」
隣で暴れて騒ぐいつもの二人に耳を塞ぐ三上はチラッと朝練にも来ず、未だに登校してこない翔真の机を見ると、


「おーーっす!!翔真ぁ!!」

教室に入ってきた翔真に未茉はすぐに気づき大きく手を振る。

キラキラと輝く朝の日差しに負けないくらい無邪気な笑顔に昨日ずっと会いたくても会えなかった彼女の姿を見て、

「おはよ。」

抱きしめたくなる衝動をグッと堪えたせいか、どことなく寂しそうな目で彼女を見てそっと微笑む。
いつもと全く同じ翔真に少しホッとする三上だが、

「なんだよ!!元気ねーじゃん!!」

能天気な未茉に、もはや結城も三上も、
(おめぇのせいだろ・・・)とひきつることしかできない・・・。


「そんなことないよ。」
「あっ!!昨日うちまで来てくれたんだってな!?悪かったな!静香んち泊まってた!」
「そうなんだ。」
「スマホの充電切れててよ。連絡取れなくてわりぃ。」
「ううん。」
「なんか用だったか?」

「……」

そのなんてことない言葉にいつもなら彼女の性格上、気にすることでもないのに翔真はらしくもなく、今日は一瞬だけつまらせてしまうも、


「うん。会いたかった。」

愛しさ溢れんばかりの潤んだ目でストレートに言った翔真に、
ざわっ…クラス中が赤面しながら二人を見た。
「おーいー・・・」
朝からやめてくれよ・・・と結城まで真っ赤になりながらひきつる。