「嵐が去ったあとみてぇだな・・・」
物凄い勢力で一瞬にして過ぎ去った嵐のあとのような静香と未茉がいなくなった教室で、結城はどっとため息ついた。
「翔真、追いかけないの?」
静香に投げ掛けられた言葉がショックなのか、未茉がいなくなってしまったことがショックなのか、全く読み取ることができないが、無言で少し俯く翔真の後ろ姿に三上は問いかけた。
「翔真!ごめん!」
とっさにユリが反応して駆け寄り、
「電話に出ちゃったのはたまたまで、翔真いなかったし、相手も白石で知ってたからつい…もし気を悪くしたなら本当にごめん!」
「ユリ。」
未茉の元へ行かせたくないという思いからかその腕を掴むユリの手は力強く、その思いを振り払う酷さを翔真にはないとみんな分かっていたが、
「俺は未茉ちゃんが好き。この気持ちはもうずっと変わらない。」
「!」
たった一言、ずっと分かりきってたことをそう発せられた。
「そうじゃなくて…もっと…怒ればいいじゃない…!私なんか嫌いってしつこいって言えばいいじゃない!!」
震えながら声を強張らせながらユリは顔を上げて言った。
「そんな答えなんかいらない!迷惑だとか、怒ればいいじゃない!なんで…感情をくれないの?」
ポタポタと溢れ落ちる涙はすがり付くように掴む翔真の腕にも落ちたが、
「ユリのことは嫌いではないし、怒ってもないよ。」
「…」
「でも気持ちには応えられない。絶対に。」
それだけ言い残し翔真はユリに掴まれた手をするりと抜けて教室を出ていった。



