「ちょい待てや!未茉!」

後ろから物凄い勢いで走ってくる忘れかけていた静香の存在に振り向くと、
「親友を置いてくとはどういうこっちゃっ!!」
「あ?どこにいたんだよお前」
「クラスメートに見つかったらマズイ思うて隠れとったんや!!なのに平気で置いてくバカおるかっ!!」
「へえへえ。」
と聞き流しながら教室の前に立つと、賑やかな声が廊下まで聞こえてきた。


「おっつかれぇー!!!わりぃーな遅くなっちゃって!!!」

ガラッ!!と勢いよく教室の扉を開けると、
「「し…白石!!?」」
クラスにいた男子達はこっちを見るなり、ざわっ…!と騒ぎだし気まずそうな雰囲気を漂わせるも、

「うっわー!!すげぇ!!もうほぼ出来上がってんじゃん!!」

そんなことには全く気づかず、あっちこっちのほぼ完成されてる大道具に感激してると、ユリが驚いて振り返り、

「あ、白石!練習終わったの?えっ・・なんで静香まで!?」

「お互い様やないですか。前園さんも他校の生徒ですやん。」
我が物顔で教室にいるユリに静香はひややかな視線で答えると、
「デカっ・・・」
男子達は女にも関わらず静香の180㎝越えの身長に驚いていると、

「ああ、白石や私みたいに細い子見慣れちゃうとびっくりするかもしれないけど、一般的にはバスケってこの子くらい大きい子が向いているスポーツなんだよ。」

「「へぇ~~」」
飲み物片手にすっかり打ち解けているクラスの男子はユリの言葉に納得したように頷くが、

「なんや気に食わんええ方やな。バスケがやだって投げた女がバスケを語らんでほしいな!!」
ひとつ上のユリに対して謙虚な姿勢を示したがムカッときた静香は毒を吐いた。