「なんで静香まで明徳に来るんだよ。」


大成で練習が終わる頃には、日はどっぷり落ちていて、真っ暗な駅に降りながら着いてくる静香に言った。

「まぁな。うちは結果的にはええことをしたんやけど、翔真には辛いことを言うてしもうたから一言詫びをいれにいくのがええ女っちゅーもんや。」
意味不明なことをどや顔でいう静香を、

「あ?お前がいい女っーのがひっかかりすぎてその前の言葉が入ってこねーよ!」
「なんやて!?事実やないか!」

「そうだ!!ルリちゃん人形キタローに縫って貰わなきゃなっ!!」
大成サッカー部は練習試合の為、会わずにすんだが、早いとこキタローに縫って貰わないと、首から綿が溢れ、ルリちゃんは瀕死の状態であった・・


「ほぉ~~~ここが明徳かぁ~~~。
やっぱり設備はうちの方が全然ええなっ!」
校舎に着くなり安定のどや顔で静香は、校内を見渡す。
「だったら来んなよ。」
下駄箱につくと上履きを放りだしながらスタスタと先を歩いてると、

「いやー、お似合いだったねー。湊君と彼女ー」
「なんか見た目完璧すぎて嫌な女かと思ってたけど。」
「片付けも率先してやってくれたし。」
ざわざわといつも聞きなれた集団の声が遠くから聞こえてきて振り返ると、

「でも私、あの女嫌い。」

椎名だけは面白くなさそうにカバンを肩にかけかえながらそう言うと、
「なになにーまさか白石の方がいいとか言うオチー?」
「ち・・ちが違う!!誰があんな女!!!」
からかわれて真っ赤な顔で全否定する椎名に、

「あっ!!やっぱり椎名さん達だぁー!!やっほーい!!」

未茉が両手をぶんぶん振りながら彼女達の側に駆け寄ると、
「うわっ・・!!白石っ!!」
嫌なものをみるかのようにひく女子達。