「家に行ったらおばさんがここだって教えてくれたから!はい!差し入れ♪みんなで食べて」

お菓子が入った袋を渡しながら、興味深そうに教室を見渡した。
「初めて明徳に入っちゃった!うち女子高だしなんか共学の教室ってなんか新鮮♪」

「よく入れたね…」
こんなとこまで押し掛ける神経を半分疑いながら三上が驚きながら言った。


「うん。私服だし結構他のクラスの人達も文化祭準備で来てる人達いっぱいいたから紛れて入れちゃった♪本当は校門で待ってようかと思ってたけど。」 

「なんだ。やっぱり付き合ってんじゃん。」
ヒソッ…と他の男子達はユリの登場にそうざわめく。
(白石がいない隙に渦中の彼女を教室にいれる男・・あ~せっかくクラスがまとまったのにまた翔真が僻まれちまうな・・)
三上はサゲマン女ユリをひきつりながら睨んだ。


「差し入れありがとう。でもユリ、悪いけど」
声のトーンで翔真に何を言われるか察知したユリは、
「手伝うよ!私も!人手は多い方がいいじゃん?」
「いやいや…」

「湊君ー!ちょっといいー?白石さんが作ったこの図面じゃ全然分かんな…」
家庭科室で衣装作りをしていた女子組の椎名が教室に入ってくると他校のユリがいることに一瞬驚く。

「うわ・・白石って絵のセンスもないんだ・・」

ハンターの衣装を落書きのような絵で書いてあり寸法もぐちゃぐちゃで覗きこむユリはひきつり笑いしながら、

「私、裁縫とかこういうの得意だよ!よかったら手伝わせて」
にっこりと可愛らしい笑顔で笑い、紙を受けとる。
「…いえ、大丈夫です。」
噂や話には聞いていた翔真の元カノらしきユリの存在に椎名さあからさまに嫌な顔をするも、
「いいから、いいから!私裁縫好きだし!!」
無理やり椎名達を引き連れて家庭科室へ消えてった。