「凄い活発な男の子ね」
まるで風のように去ってく子にクスクスと微笑む翔真母に、
「えっ!?あの子、女の子だよ!!」
驚いたように翔真は言い返した。
「え…どう見ても服とか髪も言葉使いだって男の子…」
「ううん!絶対女の子だよ!!」
確信はないが、自分の中のなにかがあの子は女の子だと言っていた。
「それに凄い可愛かった…」
思わずポロリと出た言葉に翔真母は微笑み、
「バスケットボール買っていこうか?」
「えっ!?いいの!?」
「うん。」
商店街へと引き返す並木通りの電柱に貼られていたポスターに体育館で行われているバスケの試合の詳細が書いてあり、
「白石清二…ってまさかあの?!」
バスケはあまり分からなくても同世代のヒーローの名は聞いたことがあった。
「もしかして白石清二さんのお子さんなのかしら…他の選手のお子さんかもしれないか。」
「ママ?」
独り言を呟く母を不思議な顔で覗きこむも、
「また会えるといいわね。」
息子の手を握った。
「ただいま。」
自宅に帰った翔真は真っ暗だったリビングの電気をパチッとつけると、母は家族アルバムを広げながらうたた寝をしていた。
「やだっ私ってば寝てたー?」
明かりに目を覚ますとアフタヌーンティーを楽しみながらアルバムの整理をしていたらついつい寝てしまった自分に驚きながら起き上がる。
「うん。気持ちよさそうに寝てるから電気つけるか迷ったけどそろそろ姉貴の迎えの時間じゃない?」
「ほんとね!まずいまずい…」
慌てながらもクスクス…と母は思い出したように笑う。
「ん?どうしたの?」
不思議な母の笑いに翔真も冷蔵庫を開けて水を手にとりながら尋ねる。
「ねぇ、翔真がバスケットボールを始めたきっかけ覚えてる?」
「え?うん。」
「愛知に住んでた時、並木通りのバスケットボールゴールで翔真にバスケを教えてくれた子いたわね。」
「…うん。」
翔真が少しだけ寂しげに頷いた。



