「結局、未茉ちゃんは健さんのこと好きなんだよ。」
「ちげーよ!!好きなのはお前だって言ってるじゃん!!」
「もう何回こんなこと繰り返すのか…いい加減…」
「いい加減ってなんだよ!?だったらもう付き合わなくてもいーよ!待たなくてもいーよ!!翔真好きにしろよ!!ユリと付き合えよ!!」
「なんでそこでユリが…俺はユリがどんなに怪我しようがスランプに陥ろうが、未茉ちゃんと付き合うよすぐにでも。」
「はぁ!?馬鹿か!あんな甘ちゃんユリと健兄を一緒にするなよな!」
「いやしてないけど…」
「しただろ!?」
「俺が言いたいのは、それとこれは別でしょってこと」
「別になんかできねーよ!!」
「…!」
「健兄が一年もバスケできねーのに、ヘラヘラおめぇとなんか付き合ってられっか!!」
「その程度なの?」
「あ?なんだって?なんつった?」
「俺への気持ちはーーその」
「ああ。そうだよそのーー」
“その程度”
ーーガバッ!!!
真っ青な顔で冷や汗を浮かべながら、翔真は目を覚まし猫背だった身体を勢いよく起こすと、
ガタンゴトン…
各駅だからか列車のレールの上を単調なリズムで走る揺れに、
(ああ、病院の帰り道か…寝過ごしたな。)
周りを見渡せばそれが夢だったことを理解した。
乗客もまばらな車両だったが、自分があまりにも勢いよく飛び起きたせいか、それともデカイ図体に驚いたからか視線を浴びた。