…パタン…
静かにドアが閉まる音が病室に残された三人に響き、
「ははっ!雅代さんなんっー格好で覗いてるんですか」
ドアの向こうで健のいつもの笑い声が響いていた。
想いとは裏腹にあんな言葉を残しても自分の感情を微塵も見せずに、いつものように兄貴として振る舞う健を思うと和希は涙を拭い、翔真に気まずそうに顔をあげた。
「わりぃ、湊のことは応援してっけど、今の健兄は…誰かが支えてやんねーとなんか…」
「うん。分かってるよ。」
気を使わせてしまったことに翔真も後ろめたさを感じていて、
「湊と戦いてぇーんだよ。健兄。堂々と戦って自分の気持ちに決着つけてーんだよ。戦いもできねーってきっと諦めようとしてんだよ…。」
15年想ってきたんだぜ?
あの言葉を未茉はどんな風に受け止めたのか、気になり翔真は未茉の目を見ると
健は十年以上待ってるぜ?
匠からの言われた言葉が頭をよぎったがさっき気持ちを跳ね返すように投げてしまったことを思い返していると、
「姉ちゃん。」
そんな姉貴の姿に和希は言うか言わないか迷っていたことを口にした。