「あのスケベ親子医師めぇぇっ!!!」
ただならぬ表情の未茉が最高沸点に達し、和希の病室に怒鳴りながら戻ってくると、
「な…なんだよ姉ちゃんまたどうしたんだよ…」
と和希がたじろいでると、
「じゃ、和希♡私達は散歩にでも行こうかしらねぇ~~~~」
ふふっと笑顔で無理やり和希を車椅子に乗せ病室に未茉と健の二人きりにしようとする魂胆丸見えのママに、
「はっ?散歩って・・」
「ママ達一時間はもどらないからねぇぇ~~~♡♡♡ふふっ」
ひきつる和希を無理やり車椅子に乗せいらぬ宣言を残しさっさと病室を後にする。
健はやれやれとベッドに腰を下ろしため息ついて窓から見える夕焼けを眺めていると、
「クソッ!!全然効かねーじゃねぇかっ!!この湿布!!!」
苛立ちからか未茉は肩に貼られた湿布をペリッと剥がし投げ捨てると、
「ばーかっ!お前は何やってるんだよ!!!」
ベシッ!!と湿布の箱で未茉の頭を叩き、
「だってよ安静にしてれば治るってたじゃねーか!!」
「おー、1分2分の安静で治るんなら医者はいらねーだろ。」
「何ぃ!?あんなスケベ医者のいうこと信じてんのかよ!?だからお前も中々なおんねーんだろ!?」
「禅の親父は、女好きのセクハラで有名だけど腕は日本一だって清二さん言ってたぜ。」
「とんでもねぇ医者だな!!そんな奴信じられっか!!あたしは国体出てエマをぶっ潰して優勝すんだよ!!」
「おー。お前ならできる」
若干棒読みの健に気づきもせず未茉は腕をグルグルと勢いよく回し、
「おー!あたりめぇーじゃねーか!!打撲なんか・・」
そう言いかけた時、ピリッ・・・と鋭い痛みが襲いかかり、
「くぅ・・・」
肩を押さえながら涙ぐみ膝まづく。