ーードンッ!!
病院の廊下の携帯使用可能ブースの個室へと引きづり込まれ、誰もいない密室の壁に体を押し付けられ、向かい合わせになり健は微笑んだ。
「その右手に持って隠しているものはなんだ?」
「あっ・・・ああっ、これか!?これはルリちゃん」
冷や汗を流しながらとっさに首がグラグラともたつくルリちゃん人形を捧げるも、
「そっちの手じゃねぇーよ。」
「どぅあぁあっ!!!」
左手に持っていた湿布の箱を焦りながら壁と自分の体の中の後ろへと隠した。
「こっ・・これはですね・・・まっ・・まぁ・・なんというかですね・・・」
明らかに目が泳ぎ、冷や汗を流しながら焦りだし落ち着きのない彼女を問い詰めるような冷ややかな視線が健からは浴びせられている。
「なっ・なんでもないでござるっ!!!」
耐えきれない未茉は逃げ出すように両手で健を押し退けようとすると、
「イっ…!!」
左肩に置かれた手の痛みで顔が引きつったのを見逃さない健は、未茉の足を割るように足を入れ、
ーーグッ!と身体を密着させて抵抗できないように壁に片手で両腕を押さえあげ、慣れた指先で顎をクイッとあげて睨み、
「五秒以内に言わないとキスするぜ。」
「ぬあっ!!?」
「マジだぜ?」
「5、4、3、」
シレッとした表情であまりにも早いカウントダウンとともに近づけてくる顔にさすがに焦りだし、
「ちょっ…ちょっと待っッ…!!!んっんっ…!!!」
阻止しようにも両手は奪われたまま、有無を言わさず話していた唇に舌を押し入れられた。
「まだ五…んっ」
まだ五秒経ってなかったじゃん!!と言いかけたくも言わせてくれない程、強引さで、合宿の時のような甘く深く試すようなキスとは明らかに違っていた。



