「雅代さん、ありがと。」
「頑張ってねぇ~♡健くぅーん♡」
病院へ到着すると車から降りて手を振る健は足早にリハビリへと戻ってった。

「ふふっ♡健君と未茉ちゃんは街中で見かけると今じゃ恋人同士みたいねぇ~♡」
「あ?」
ママと並んで和希の病室へと向かう中、隣ではそうなってほしいのか、嬉しそうに思い返してる。

「なんだか昔はお兄ちゃんって感じだったけど、中々お似合いにやってきたじゃなぁ~い♡あっ、湊君には内緒よ♡ふふっ」
「なんでママに内緒とか言われなきゃなんねーんだよ・・・。」

「でもぉ、未茉ちゃんは湊君と付き合うんでしょ??はぁ~なんだか切ないわぁぁ・・・。」
報われない健を勝手に悲しみ出すママ。

「そぉかぁ??こっちが遠慮するほど、健兄ちっとも切なそうじゃなかったぜ?さっきだってあたしと翔真が付き合うの面白そうに笑ってたしよー。」

「……やだやだ。ふふ」

驚いた顔を見せたママは優しく笑い、

「ママ?」

「健君は未茉ちゃんの前ではそういう風に振る舞うの。知らないわけないでしょ。」

「…!」
分かってた。
…分かってたはずなのにママに言われて改めて思い返した。
(あたしに告白した時の感情剥き出しにした健兄の態度ーーあれが本音だ。)

「だよな…。バスケみてぇにポーカーフェイスだからすっかり騙されちまうな。」

「そうね。未茉ちゃんの前ではね。」

ママは色々と感慨深そうにため息ついて、珍しく落ち着いた声で話始めた。