「あっ!!健兄ぃー!!!こっちこっちー!!」

和希の病院の最寄り駅の改札で未茉は、息を切らしてやってきた健に手を振っている。

「こっち……こっち……じゃあねぇだろう!!!この無銭乗車がっ!!!」
ゴチッ!と未茉に軽いゲンコツを落とす
「うわぁぁーーん!!いてぇぇー!!!」
「っとに!!ほらっ早くチャージして出てこい!!このバカ女!!」

「ふぁい・・・・。」
シクシクと叩かれた頭を自分で撫でながらチャージに向かっている間、健は駅員に頭を下げて電話代を返していた。

「・・っとによー。なんでPASMOの中身確認しねーんだよ・・。っーかその前に財布は!?スマホは!?」

滞りなく無事に改札を出ると改めて健の説教が始まり、
「全部ガッコー・・・」
PASMOだけはスカートにいつも付けっぱなしだったのでチャージ残高など何も考えずに早乙女と別れた駅から電車に乗ってしまったのだ。


「あっ!?なんで学校!?っーか貴重品持ち歩かないバカがどこにいるんだよ!?お前俺が和希の病院にいなかったらどうしてたんだよ!?」

「それは・・超~~~困ってた・・・・。」

怒られて何も言い返せない未茉は体を小さくして謝るも、
「元々どうしようもなく抜けてっけど、最近のお前は更にやべぇからな!?……っとに。そんなんでお前、湊と付き合えんの?」

「!?」
健の口から思わぬ流れに驚き固まる未茉の表情に、
「あれ。付き合わねーの?なんだ。読みハズレたか。よし。ラッキー♪」
なんだか嬉しそうに肩組んで未茉を抱き寄せると、

「イッてぇ!!」
とっさにどんっ!と健の腕を振り払った。


たいした力入れられたわけじゃないのに少し鈍めの痛みが走った。
「……?」
すぐに変な顔をしたのは健の方だった。