「早乙女!!!急いで!!」

早乙女が友達から借りた原付を出してくれて未茉は後ろで豪快に足を開いて抱きつきながら煽りだす。

「速度は守らないと捕まっちゃうよ!」
「早く明徳戻ってこのルリちゃんをキタローに縫って貰わなきゃ!!!」

「そんなに大事なの?!そのぬいぐるみ…」
「ああ、命とサッカーと同じくらい大事だっつてたからよ!!」
「・・・その定義分からない・・」

証拠隠蔽をはかろうと明徳のキタローの元へ、ルリちゃん人形を緊急搬送する中、閑静な住宅街へ差し掛かるとバスケットゴールがある少し大きめの公園が見え、

「早乙女!!早乙女!!!止めて止めて!!」
「えぇっ!?」

ーーキキキキィィッ!!!

急ブレーキをかけて止まると、未茉はジャンプして原付から飛び降りて、リュックからボールを取り出して公園へと入ってく。

「しっ…白石さん待って!!急ぐんじゃないのー!?」
「ちょっと寄り道してこうぜ!!なっ?」

ゴールを見たら打たずにはいられない気分屋の彼女に振り回されるも、見ていて飽きないその無邪気さに眩しそうに見つめながら、
(やれやれ…)と、ため息をついて公園の隅に原付を止めた。

秋空が一面に広がる空の下、心地よい温度に未茉は弾むような足取りでミニスカートでもお構いなしに未茉は勢いよくゴールへとドリブルしながら走り出す。

「早乙女も早くっ!1対1やろーぜ!」

そんな彼女の笑顔に導かれるように早乙女も走り出すと、


「ーーってぇっ!!!」


だが、その時だった。


「!?白石さんっ!?」

未茉がボールを高く放った時、左肩に鈍い痛みが走った。

ーーゴンッ…
ゴールをリバウンドしたボールが地面へと叩きつけられた。


「白石さん…!!?」