「♪らぁ~~~~ららら♪」

何やらお得意なJPOPの歌をドライヤーの音に負けないように歌いながら手でグシャグシャと乱雑に乾かすその後ろ姿に数十秒見いってると

「よし、おしまいっ!!」

「えっ・・・」
カチャッとドライヤーのスイッチをさっさと切るあまりの早さに翔真は驚く。
「髪まだびしょびしょだけど・・」
「いーんだよ!垂れてこなきゃ」
「ドライヤーの意味・・!!!」

首にかけていたタオルで後ろから翔真が濡れた髪を拭いてあげるも、
「もーいーってっ!!」
めんどくさそうにぶうたれる未茉を尻目にもう一度ドライヤーのスイッチを入れて濡れた髪に丁寧に指を通しながら翔真が乾かし始める。

「こういう時じゃないと触れられないからね。」
「?触りたきゃ触ればいーじゃん。」
「え、いいの?」

「あたしも触るし。」
くるっと未茉は振り返り、中腰になり翔真の髪を両手で触り返しドライヤーの邪魔をする
「こら」
「あははっ!!仕返し」
「仕返しって……乾かしてんのに」
暴れん坊の未茉のおでこをピンッと軽くデコピンをして、
「痛ッ・・・」
「はい、前を向く。」
ピッと両手をつかんで姿勢を正させて前を向かせてドライヤーをかけ続けてると、

「へへっ楽チンっ♪」
ご満悦なのか未茉はそう笑みを浮かべながら足を伸ばし、軽くストレッチを始める。