‘翔真にはわかんねーよ!うちらがどんなにストイックにバスケをやってるか’
‘うちらが’

作業に集中しようとするも、翔真は未茉に言われたことが頭の中を過ると、

「むー。きつい……」
険しい顔でペンキを塗る手が止まってしまう。
「やっぱりここか」
突然背後の扉が開き、男の声と気配に振り向くと、

「あ。」
キタローに導かれた結城と三上がやってきたのは、クラスの作りかけの文化祭の大道具が置かれた体育倉庫だった。
「こんなとこでやってたのか・・」
三上が辺りを見回しながらもすぐにペンキに手をかけ手伝いだす。

「あははっ。ごめん。気を使わせちゃった?」
自分を気にかけてくれる彼らのよそよそしい雰囲気にたまらず笑ういつもの穏やかな翔真に、

「おっおう・・・」
安心する一同だった。

「いや、ぶっちゃけ死んでしまうんじゃないかと心配したよ。」
冗談混じりで三上も安心したように床に座りこむと続いて結城もドサッと腰をつけあぐらをかく。
「ほんとだよ・・・お前があんなんなるの初めて見たぜ。」

「うん。俺も初めてかもなぁ~。」

「「「!!」」」
サクッと認める彼に三人は驚くも、
「でもこのまま引き下がらないよな?」
答えは分かっているが一応三上は聞いてみた。

「うん。何されても何言われても俺、結局可愛いと思っちゃうんだよな。」

「「・・・。」」
呆れて何も言えずにいる二人に対し、キタローは
「間違いない。俺もそうだ。」
「な。」
性格も全然違うのに理解し合う異様な二人を見て結城達はひきつっていた・・・