「きったねぇー!!!おまっ・・なんだこの中身はっ!!うわっなんかくせぇーぞ!」
「んぁ?そうか?」
中身を見て驚愕する結城は何やら匂うバッグの中身に鼻をつまむ。
「ああ!パンの食いかけだ!電車の中で食いながらねちって忘れてた!」
ケロッと笑いながら言うと、

「うわ・・・」
わりと潔癖症な三上はドン引きしている。

「しかもおめぇーティシャツもタオルも丸まってるし、小銭はじゃらじゃら散乱してるしよー!女かっ!おめぇーは!!」
「いーんだよ使えりゃ何だってよ~~」
「・・・。
ん?教科書入ってるかと思いきやなんじゃこりゃ。」

教科書サイズの本が一冊入ってて取り出すと、
「アスリートのリハビリ本?」
「おう。パパの部屋から出てきたから健兄に渡そうかと思って。」

‘健兄’というフレーズに条件反射でうたた寝しててもパチッと目を冷ます翔真。
「そこは起きるんだ・・・凄いね。」
と彼の恐るべき反射神経の良さに三上は関心している。


「健さんどう?」

「すげーよ。毎日病院で必死にリハビリしてる。あんなに自分にストイックな奴いねーって看護師が目をハートにして言ってるぜ。」

「毎日…未茉ちゃん健さんに会ってるの?」
「んあ?わりと会ってるぜ。」
「……言った?」

「!」

翔真に聞かれてハッと思い出した未茉。

「あ~~~すっかり忘れてたなぁ・・・それ。」
本気で忘れていたのか、平然とした顔で言う未茉に驚きを隠せない。

かたや自分はそのことしか考えてないと公言しているのだから。