「でも受けて立つのは、その左腕が治った時にします。」

「……!」
驚いた健が顔を上げると翔真は頷くように微笑み視線を反らした。
「フェアじゃないので。」

監督にも選手にもエースである健は、まだインターハイの怪我が響いてるなどと誰一人本当のことをもらさずにいたのに見抜いていた。

「いざという時、突き指くらいなら出れるっていうエース健さんの存在は味方にはでかいですからね。敵は脅威だ。」

「……お前だけだぜ。気づいてんの。匠でも気づいてねーのに」
はぐらかすような視線に健はうっすらと苦笑いを浮かべた。

「健さんって何事に置いても周り一番に考える人だから。唯一自分のことだけに集中できるのってコートの中だけなのかなって。」

「お前・・・ライバル称えてどーすんだよ。」
「あはははっ。称えたっていうか……まぁ、だから敵わないっていうか。」
「……」
「安心して休んでいて下さい。健さんがいなくとも余裕なんで。」
キラキラとした眼差しでカッコつけながら言う翔真に健はムカッとした表情を浮かべ、
「ベンチに泣きついてくんなよ。てめぇ。」
「あはははっ。」
「借り作ったつもりでも、未茉とは付き合わせねーよ。」

「・・・あれ。バレました?」