「なんだよもー!!人がその気になってんのによー!!!お前はあたしと付き合いたくねーのかよ!?」

健に言いに行こうと心に決めたのに阻止されて苛立つ未茉。

「付き合いたいに決まってるじゃん。もう俺はそれしか考えてないよ。」

「…!それしか考えてねーの?」
そんなことしか考えてないデカイ体の背中は、小さく丸まり自信をなくしたように頭を抱え込んでしゃがんだ翔真の姿が未茉の目には可愛く映った。

「あっははははっ!」
「あはは……って・・・」
なぜそこで急に笑い出したのか分からない翔真は顔を上げてお腹を抱えて笑う彼女を見る。

「お前いつも余裕ぶっこいてんのにな。」
未茉も得意気にしゃがんで、らしくない翔真の髪をよしよし。と撫でると、

「だから余裕じゃないって」
ムッとした顔から一転、にっこりと笑いかける翔真は未茉の腕を引っ張り、

おでこにちゅっ……と軽くキスをした。

「……!」
不意打ちで一瞬すぎて驚く未茉に、今度は愛しそうにどこか少し照れた表情で微笑むと、

「ちゃんと言えるの?また健さんに言えずに帰ってくるんじゃないの?」

半ば諦めたような疑いの目で未茉を見ると、
「言うよ・・・。うっせぇーな。黙って待ってろ。」
ワンパターンを読まれたかのようにどもると、

「しかし、なんだろうな。健兄のあのテクニックは・・。アイツを倒す為に何ヵ月も仕込んだシュートを自信満々に決めに行こうとしても、健兄がゴール下でほくそ笑んでるだけで、焦ってこっちがトラベリングしちまう感じだよな。」

「それって・・・とんでもない相手だよ・・」
やはりあまり彼女には期待できない翔真であった・・・。