「翔真だけしか見えてねーから、そんな自分を健兄に見られてどうしていーのか分かんなくなったじゃねーか!!」
無茶苦茶な逆ギレとは裏腹に気づくと未茉の目には涙が一気に滲んでいった。

「自分からキスしたのに最低だ……」
思い詰めたようにへこみだすと足下がクラッとすると翔真が支えるように未茉の両腕を持ち、

「未茉ちゃん?」

しばらく無言でうつ向く未茉を心配して屈んでその顔を覗きこむと、

「うぉおおおおおっ!!!」

未茉は突如大声で叫びだし、眉間にシワを寄せて物凄い形相をして顔をあげると、
「健兄に懺悔してくる!」
心に決めたようにキリッとした顔立ちで手をあげてクルッと翔真に背を向けて歩き出すも、

「ちょっ…!ちょっと待って待って!!」
状況がいまいち掴めない翔真は未茉の手を引っ張り引き戻す。
「どういうこと?懺悔っていうのは…」

「だからあたしはお前が好きだからって健兄に謝って謝って許しを貰えるまで謝るんだよっ!!」

「……ああ…そういうこと?」
「そーだろーよっ!!髪切って懺悔するか…一体どんな意地悪を言われるかこえーとこだけど・・」

それは翔真も健の性格をなんとなく分かる分、嫌な想像が頭を過った。
「髪とかそんな生易しいもんじゃないよきっと健さんは体とか要求してきそうだな・・・」
考えただけでおぞましく身震いする翔真に、

「確かに・・・健兄幾度となくあたしを犯す宣言をしてるからな・・欲してるんだろうなこの体を。」

「えっ!?そうなの!!?」
初耳に翔真も驚いた後、恐怖で青ざめるも
「しょーがねぇな・・小さい頃からの恩もあるしまぁこの際、体の一つや二つ諦めるとするか。」
と腹をくくり立ち去ろうとする彼女の手を翔真はまたも引き戻す。


「それは絶対ダメだろ・・・っ!!」