「お前さ、駿と一体どうなったんだよ。アイツ新人大会優勝したんだろ?付き合えねぇの?」

「別れてから、よりお互いバスケに打ち込むようになってくると前程の熱量がないっていうか。慣れてくるとこれでよくなってくるっていうか。」

可愛い顔しているのに、元々昔から人一倍落ち着きを放って莉穂だったが、そうコートを見ながら話す横顔からは少し冷めた温度が伝わってきた。

「熱量なぁー、分かるかもな。」
「え・・未茉に分かるの?」

「分かるよ。ユリみてぇーにあんなに言う程想ってくれる人の側にいた方が翔真も幸せなんじゃねーかと思っちまうよな。普通に。」

「でも前園さんの場合は、いくら熱量があってもあの湊君を渡したところでうまくいかなそうだけど。」

「まぁな。未だに健兄のことも吹っ切れねー自分を思うと、翔真の側であんなに思ってくれてるユリがいんのに待たせてると悪い気持ちになんな。」

罪悪感を否めない未茉に親友でありながら初めて見る莉穂にも複雑さが伝わってきた。


「・・・おい、匠・・・。」

ベンチに集まっていたマイクは頭を抱え、

「アイツらの声のボリューム下げさせてこい。試合にならねー・・・。」

チーンッ・・・と静まり返り落ち込む駿や早乙女に翔真を見ながらそう言った・・・。