「静香っ!!!」
「任せやっ!!!」
未茉からの空中パスに静香が豪快にダンクを決め、
「アイツ…!まだダンクなんかする力残ってとのかよ!!」
会場中を驚かせ、そして田島からのコンタクトに石井がゴール前に捻りこみ確実にタップして決めていくと、

「よしっ!!逆転だっ!!!さすがっ!!!」
東京ベンチを大いに湧かせると、カメラマン達も一斉にフラッシュの嵐を向ける。

自分への期待はなんだったのかと思えるくらいの神崎の嬉しそうな笑顔に、ユリはライトが当たらない自分を卑下し静かにその場を去った。

「……」

翔真もその離れてくユリの姿に気づくも追いかけることはしなかった。

「いいのか?」
気になったマイクが確認するように尋ねるも
「はい。自分の役目ではないです。」
「そうだろうけど……結城から聞いたぜ。お前を頼って学校にもしょっちゅう来てるって。」

だが翔真は口を固く閉ざしたまま、頑な強い意思がその未茉を見つめる眼差しから痛いほどひしひしと伝わり、


「白石を健に取られたくないもんな。」
「はい。」
「……!」
いつものポーカーフェイスだがあまりにもさらりと答えた翔真の表情にいつもの余裕が消えていることに驚いた。

勢いにのった東京だったが、それでもやはり強豪千葉を大きく突き放すことはできずに64対61と苦しみ耐えた白星をあげた。