ちらり、と工藤監督が到着したバスを待つ未茉に視線をやると、

「わぁーっ!!!二階建てバスだぁー!!すげぇー!!!ひゃほーいっ!!お菓子いっぱいたーべよっ!!」

大きな鼻唄を歌いながら元気よくバスに乗り込む未茉を見て、
「本当にあの子はあの元NBAの白石清二さんの娘で東京を代表するエースなのか・・・?」
何かの間違いなんじゃないかと自分の目を疑いたくなる監督だった。


「おわっ!!!なんだアイツこぇえっ!!」
急にバス乗り場に現れた神主の装束衣裳に身に纏い、大麻(おおあさ)を振っているキタローに車内はざわめきだす。


「あ!!キッタロー!!!」
特になんの違和感もなく未茉はその存在に気付き、
「白石のいい日旅立ちと全国への健闘を祈って…」
しばらくお世話できない悔しさで涙で頬を濡らす。

「おいおい・・・あれ明徳のオカルトマネージャーだろ!?泣いてるぜ・・・」
「朝みてもこぇーなっ!!おわっ!!こっち見た!!」
車内の窓から覗く王子と大成部員達がビビって隠れ出す。

「あたしが留守の間、明徳バスケ部を宜しく頼むぜ!!」
「ああ。もちろんだ。」
「じゃあなぁー!!!行ってきまぁぁあすっ!!!」
未茉はバスの窓から身を乗りだし大きく両手でキタローに手を振ると、キタローは一心不乱に大麻を振ってバスを見送った。

「こっち見てなんか念じてるぞ・・・」
「ああ・・目を合わすよ。呪われるぞ。」
車内は暫くざわつくのであった・・・。