「あれ前園か?」
「ほんとだ。何してんだ。」

男子達もシャワーを浴び中廊下を歩いていると、中庭のベンチに前屈みになり一人寂しそうに座るユリに気づく。

「可愛いよな。前園…」
「うん。ファンいっぱいいるみてぇだしな。」
「女子校っていうのもまた萌えるよな。」
遠目からユリを見て王子と大成男子がひそひそと噂をしている後ろから、


(小さいお風呂に大男達が入るから更に小さくなるお風呂……)

こちらも軽井沢の合宿所と全く違うお風呂との比較をしながら翔真はボーッとしながら浴室から出てくると、前の男子部員達の視線の先に気づき目をやる。


「朝はあまり話聞けなくてごめんな。」

「……!翔真!!」
そして俯く彼女の元へ行くとユリは目の前に現れた翔真に顔を上げた。
「大丈夫?」
ベンチの横には座らずに目の前でしゃがんで声をかけた。

「ありがと。」
来てくれた嬉しさや気にかけてくれた嬉しさから涙が潤みそうになった。