「未茉ぁ~~~。あんた湊が見てるから言うて元カノ相手にええ顔するっちゅー魂胆やなっ!?さすが魔性やなぁ!」
静香がやってくるなり未茉の肩を抱いて言うと、
「む?魔性??」
「そや。あんまり行きすぎたことしとると今度はあんたの首絞めることになるで?」
「あ?何言ってんだお前。」

「いいんですか?田島さん。ユリをベンチにあげるなんて。」
ベンチで肘つきながら座るユリを見て石井がそう言うも、

「…どのみち名古屋に勝つには、アイツのリバウンド力も必要。高さで劣る分、あのダイブの上手さはかなり欲しいね。」

「……!」
「監督もそれが分かってるからなんも言わねーんだよ。」

「ユリに戻って来て欲しいってわけだ。」
インターハイで名古屋の強さを肌で知った田島はそう考えていた。


「ちょっとあれオギタクじゃない?!」
「えっ…やっぱりぃ!?」
「大成にいるって聞いていたけどまさか…!!」
テレビでも取り沙汰される程のサッカー界のスターオギタクの姿に気づき始めた観客席にどよめきが走るも、

「未茉さぁーーん!!頑張ってくださぁーい!!」
周囲のざわめきなど皆無の本人は呑気に声援を送ると、
「あれ、荻山じゃん」
「本当だ。バスケなんか見にくるんだ。意外」
同じ大成でも有名人の石井と田島が見上げると、
「んっ!?なんやなんやぁ!!?」
静香もオギタクが来ていることに目を丸くし、
「なんであんたの名前呼んでんねん!!」
未茉に詰め寄る・・・


「未茉ちゃん…あれ、オギタクさん!?」

にこにこしながら未茉に手を振るオギタクを見てアップしている翔真がコートに出る寸前の未茉の元へやって来る。
「ああ!そう!連れてきたんだ。」

「連れてきたって・・・どっから?」
「え、グランドから。」

「え・・・・。」