「千葉代表もわりとでっけぇーな。」
ぞろぞろとコートに入ってくる千葉の選手を大成のスタメンの四人は見ていた。
「名古屋の方が全然でかいよ。愛知はエマ以外みんな80以上あるでしょ。」
あんなの序ノ口だと田島はため息つきながら言うと、

「田島だ…あれ、白石は…??」
千葉代表達も田島を見てヒソヒソと話ながら好奇の目で見てる。
「白石いなくない?」

「田島さんは分かるけど意外と白石も有名なのね。」
インターハイを逃した未茉の存在を知る千葉の選手が多く、石井が不思議そうに言うと、

「未茉はミニバスでも中学でも全国行っとりますから、関東では同年代でも有名やで。まっ!うちの次にですけどなっ!!!」
「・・・誰も静香の噂してないけどな。」
「石井さんっ!!」
えっへんっとどや顔していた静香に冷たい一言を放つ石井だった。


「あ、ユリ!!」

観客席のすみで座っていたユリを発見した未茉は
「なっ・・何よもう大声だして恥ずかしいわね・・・。」
肘をつきながらプイッと顔をそらすユリの腕を引っ張り、

「何す…」
「おらっ!出るぞっ!!!」
「はぁあっ!!?」

「時間ねぇよ着替えて出るぞっ!!!」
グイッと勢いよく引きずるように引っ張って未茉はユリを連れ出そうとするも、
「放してよっ!!」
その手を勢いよく振り払った。

「何やってんだ白石の奴…」
その軽い騒ぎにコートの下の大成女子達はギャラリーを見上げながら眉を寄せている。
「…白石」
その様子を神崎も見上げてると田島も何かを考えながら監督を見ていた。



「試合に出るぞっ!!!」


「なっ……!!バカ言わないでよっ!!私はバスケ辞めたの!!もう退部届けだってだしたの!!」
「んなの関係ねぇーよ!!いいから来いっ!!!」
「関係なくないでしょ!!私はもう」
「嘘だっ!!お前はバスケやりてぇはずだよ!!」
「もうやりたくない!!やりたくないから辞めたのよ!!ほっといて!!」

「お前が桜蘭で退部しよーと、こっちは仲間なんだからほっとけるわけねーだろっ!!」

「……!」
‘仲間’というその言葉にユリは一瞬怯んでしまう。
「出たくねーなら出たくねーでいいからせめて控えベンチで見てろよ!!!」
「もぉっ!!しつこい」
半分降参したユリは渋々コートへと連れてかれた。

「……あ」

ベンチに行くと神崎と目が合うもそらしてしまう。
「監督!ユリここで見学させるからっ!!」
未茉が押し付けるようにユリをベンチに座らすと、
「どうぞ。」
目も合わさず監督は立ち上がり、アップをする女子達の元へ向かってしまう。
「あ、お前これ持ってて!」
未茉は手にしてたルリちゃん人形を渡す。

「何よ・・・これ・・・」

明らかな二次元キャラクターぬいぐるみにピクピクと口元がひきつる・・・