「ねぇ白石さ、バスケやっててスランプに陥ったことある?」
急に真面目な顔して尋ねてきたので少し驚き言葉の意味を考えてると田島は更に続ける。

「凡人とは違う才能を持って生まれたあまり、こいつならできるであろうってことを求められ、簡単にこなしてきてある日突然求められることに体が追い付かなくなる苦痛。」

「未茉は生まれながらのバスケの天才ですやん!なんでもできる!んなことはあらへんな。なっ?」
「あるぜ。中1か2くらいがピークかなぁー。いきなり勝ってた奴らに負け始めてってあれはさすがにメンタルやられた。」

精神的なスランプに陥ったことを話しながらシャワーを浴びると田島は薄ら笑いを浮かべて頷き、

「ユリも今一番のその精神的なスランプのピークを味わってんのよ。」

いつかは停滞する成長に、どう向き合えるかが試される時がくる。凡人だろうが天才だろうが。どんな奴にも。

「才能だけでは乗り越えられない壁にぶち当たってんのよ。ユリは。」

「……壁ね。」
石井も静香も田島も三人ですら誰もが心当たりがあるからか、思わずそう呟き想い耽ってると、

「ん、あ?」
上機嫌で未茉は壁シャワーから出てくると、

「あはははははっ!!なんだっその静香の真っ白な顔っ!!!おかめみたい!!!」
そんな三人のシリアスな空気をぶち壊す程の笑い声で指を指しながらお腹を抱えて笑いだし、

「うるさいわっ!!このペチャパイッ!!!」
「ペチャ・・・・!!!!?」

((ホントだ。))
田島と石井は、未茉の裸を見ながら頷いた。