「バーカ!」
おでこをピンっ!と中指で跳ねられながら健に睨まれ、
「あのなぁ、あんな高いとこから着地したことねーだろ?そのバカ細い足にどんだけの負担がかかると思ってんだよ!!」
「だってダンクして見たかったんだもぉんっっ!!」
「だってじゃねーだろーがっ!!国体前に怪我したらどうすんだよ!?」
「うっ・・・。」
「あ?」
「ご・・ごめんくさい。」
「自覚がたんねーんだよ!このバカ!」
むぎゅっ!と鼻を思いっきりつままれ、
「いってぇっ!」と涙目になってると
パシャッ!
「む?」
すぐ側から聞こえてくるシャッター音に未茉と健は固まる。
「もっとくっついたらええよ~♡」
密着して転がる健に抱き抱えられている所をパシャパシャとスマホを向けて接近して撮る静香に
「ふーん。なかなかよく撮れてんじゃん。」
「そやろ?」
「なんならこのままキスでもすっか?」
健がふざけてそう誘ってくると、
「ふざけろっ!!」
未茉は健を押し退けて立ち上がろうとするもーーギュッ……と背中に回された手に力を入れられ、
「ちょっと健兄!!!いい加減に・・・」
振りほどけずにもがいていると、健の視線の先には更衣室から戻ってきた翔真を真っ直ぐ仕止めるように見つめている。
「…未茉。」
「だから離ッ……」
翔真の存在が見えない未茉は腕を振りほどこうと必死だったが、その力は強くなっていき健は鋭い目で翔真を見て挑発的に微笑んだ。
「しゅ…修羅場やっ!!」
側で気付いた静香は思わず腰を抜かし床に尻餅ついた時には、もう翔真が二人の目の前にやってきていた。
「健さん。」
「おー。」
まるでその瞬間を待っていたかのように笑みを浮かべた健は返事をした。
「む?」
翔真の声が聞こえた未茉は顔をあげ後ろを振り向くと、
「勝負しましょうよ。」
「いいぜ。今が一番の勝負時かもな。」