「なんや莉穂!ええのか?本当のこと教えてやるっちゅーのも親友の役目やないかっ!!!」
「時期に分かるでしょ。」

「うちにはな、未茉に好きな人を横暴されたっちゅー夏の苦い思い出があるねん。んな簡単にくっつかれたらうちの気が晴れんのや。」
「横暴・・?!何逆恨みしてんの静香。好きな人って誰・・・・!?」
初耳の恋心に莉穂はひきつると、

「言わへん。過去の男の名を口にするのはデキ女に反することや。」
「・・ごめん静香。まずどこから突っ込んでいいのか分かんない・・・。」

二人が盛り上がっている横で、次第に未茉はうたた寝を始めていると…

「あれ。白石さん?」

停車駅に止まると同じく大成に向かう早乙女が同じ車両に入ってきた。
「おう早乙女ー。っーかうちらもおるで。」
未茉しか目に入らんのか。とジトッとした視線で静香は送ると、
「ごめんごめん。静香、東条さんおはよ。」

「なんでこんなに顔が湿布だらけなの?」
「喧嘩や喧嘩。」
「喧嘩!?大丈夫なの!?」
「男が思うほどこの女はか弱くないで!フンッ」
「……知ってるけど……」

熟睡しきってるのかカクンカクンッと重い頭が揺れていたので、早乙女は隣に座り肩で支えてあげると、

「ん~~~~っ。」
ギュッと早乙女の体に手を伸ばし抱きつきながら「ぐかぁっ・・・」とイビキをかいてまた眠ってしまった。

「白石さん……」
思わぬ嬉しい出来事に早乙女は顔を赤らめてそっと肩に手を回し支えてあげる。

「ぬぁんや・・・あのフッた男ですらその気にさせるテクは・・・」
「天然なのに恐ろしいテクよね。」
莉穂はさすが魔性だと頷いてると、静香はスマホを取りだし抱き合う二人の写メを撮る。

「なにやってんの…静香」
「湊に見せんのや!拗れるがええわ……フッフッフッ・・・」
ニヤリと復讐心からくる悪巧みの笑みを浮かべる静香・・・