「私も星河健かな。背は同じくらいだけど。」
意外にも面食いなのか石井もそう淡白に選択すると、
「うちはもちろん匠さんやで。」
「静香、四択だっつってるのに・・・。」
これで静香の恋心が代表女子に知れ渡ってしまったのだった。
‘湊がベタ惚れって感じ’
‘仲いーんですねー。二人抱き合ってた’
シャワー室に入ろうとドアノブに手を回したユリが聞こえてきた会話に躊躇し、脱衣場から出ていくと、
「あれぇー?ユリさん。入らないの??」
遅れてひょっこりやってきた未茉と鉢合わせになると、
「敬語使えって言ってんでしょ。」
「はぁ~い。あ、あれ?」
ユリはさっさと脱衣場から出て外の方へ行ってしまった。
「どうしたんだろ?風呂はいんねーと臭うぞ~」
‘お前いねーのかよっ!交代だ!!’
‘何回言わせんだよ取れよ!!’
練習中の監督の声が耳に蘇りこびりつくように離れず
、クシャッ……と髪をかき乱しながら耳を塞ぎユリは一人外のベンチに座りこんだ。