「いってぇー!!」
それから数時間後、未茉は人気の少ない公園のベンチの上にあぐらをかいて痣と傷だらけの顔を押さえながら肘をつきながら座っていた。
「だ・・・大丈夫ですかっ!?未茉さんっ!!!」
隣でオギタクは涙を流しながら水に濡らしたハンカチを捧げている。
「大丈夫ー大丈夫ー。っーか結城もやっかいな女と付き合ったもんだよ。ったく!!」
結城の彼女と未茉とタイマンで殴り合いの喧嘩をしてしまったのだ。
結果的にはやはり未茉の方に軍配は上がったが、
‘あんたがいたから達也はあたしと別れるっていい始めたのよぉ!!!’
と妙な言いがかりをつけられ嫉妬と苛立ちに狂った女の勢いは気迫ある熾烈な殴りあいを見せたのであった・・・。
「まるでママハハに苛められるいたいけなシンデレラそのもの…ウッ…」
髪や服を引っ張り、頬をひっぱ叩く女二人のタイマン姿に、オギタクは何もできず涙を流しながら唇を噛み締めながらルリちゃん人形を強く抱いていた・・。
「頬に青アザが・・・!!!」
急いでコンビニから買ってきた氷を袋に入れて渡すも、
「大丈夫!っーか手足無事なら顔なんかどーっでもいいからっ!!」
あははっと豪快に笑い、唇についた血も腕で拭き取る未茉に、
「そ・・そんなわけにはっ!!!こ・・こんなお美しいお顔にっ・・・!!!!」
痕が残ってはならないとあたふたするオギタクに対し、
「それより拓哉!助けてくれてありがとっ!!っーかあんた超ーつぇーじゃん!!格闘家になれんじゃね?」
「え…いえっ!!わたくしはルリちゃんと未茉さんに恋するただの男です。」
「あ?ああっ!そうだ、お前はサッカー選手なんだよな!?それもすげーやつ!」
さっくりと最後の告白は流されてしまう。



