「ひゃほぉーーーいっ!!!」

キタローのチャリンコを借りた未茉は、下り坂で両足を伸ばして気持ち良さそうに風を切って正門を出ると、

「あ・・・・」
「あっ!!!」

見慣れた顔があり、未茉はキキィィーー!!と勢いよくブレーキをかけた。

「ユリ!!!」

振り返ると正門の所には私服姿のユリが立っていて、ユリと目が合うと気まずそうにパッと視線を反らした。

「お前・・・また翔真を待ってんのか?」

「……だったら何が悪いのよ!」
開き直ったかのような言い方に未茉はチャリから下りてユリの元へ引き返す。

「翔真から聞いたぜ!お前バスケ辞めたんだってな!?」
「だったら何。」
「バカカッ!!お前は!!!」

「いーのっ!私。バスケで今までできなかったことを思いっきりやってやろーかと思って!」
「・・・はぁっ?」
「恋とか。」
「恋ぃ・・・?!」

ユリはニッと挑発的に未茉を見て微笑み、
「諦めていた翔真との時間とか。」
出方を伺ってると、

「翔真の時間ん~~~?!ぬぁんじゃそりゃ。」
口元をひきつらせながら聞き返すと、
「ほら今まで練習ばっかで翔真を追いかけるのやめてたけど、今はほぼ一緒に帰ったり電話したりできて本当に楽しいの!普通の女子高生って感じでっ!」

どこかどや顔で未茉の様子を伺いながら言うユリに
「お前…」
「ふふん。なぁに?」
「暇人だな。」
率直な感想を述べる未茉にユリはずっこけた。