TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





「あ……健兄・・・」

物凄いタイミングで病室にやってきた健に、姉の痴話喧嘩に弟として和希はただただひきつるばかりであったが、

「なんだ?みんなで来てたんだ。」
明徳組を見るなり健はそう荷物を置きながら椅子に座った。
さっきまで大汗かいてリハビリしていたとは思えない程、涼しい顔の彼にみんなは別人なんかじゃないかと疑う程だった。

「健兄、」
「あ?っーかなんか空気悪くね・・?」
未茉に呼ばれて返事はするものの明らかに明徳組の冴えない表情が気になったようだ。

「実はさっき、健兄がリハビリにいたの見た。」

「ね・・姉ちゃんっ!!!」
触れてはならないことをあっさり触れてしまう姉に和希は焦ると、

「ちゃんとみんなの前で言えばいいだろう!?見てろよ!翔真っ!!」
まるで宣戦布告のように睨む未茉に呆れる結城と三上。

「……ああ。やっぱお前らか。さっき看護師達に健君みたいに大きい男の子達がリハビリ室覗いてたって言われたからな。」

「一体どんな怪我したんだよ。隠れてリハビリするほどそんなに健兄の怪我悪いわけ?」

「……」
「なんで言ってくんねーんだよ。いつもうちらの心配ばっかしてさ、自分のこと何にも言わねーから心配になるよ。」
「言うほどのことじゃねーもん。ただの捻挫。治りがわりーんだよ。」

「はぁっ!?最初は突き指ったり次は捻挫って言ったりなんでコロコロ変わるんだよ!!」
「そうだっけ?」
「・・そうだろうよっ!!」
うまく交わそうとして笑ってごまかす健に未茉は苛立っていると、

「賑やかそうだし、俺は帰るよ湊。」

椅子から立ち上がりあえて翔真の名前を出して挑戦的に微笑む健に、

「…また日曜に。」
「ああ。またな和希。」
「あ……うん健兄いつもサンキュー」
微妙な空気の中、健は病室を後にした。