“ 未茉ちゃんの健さんを想う気持ちも大事な気持ちでしょ?”
なぜか今さら前に言われた言葉が胸にチクッと突き刺さるも、未茉はキッと翔真を睨みつけその胸を掴みながら、
「だからあたしが好きなのは翔真だって言ってんじゃんっ!!!」
そう怒鳴るように叫ぶと、
「…うん。それなら行ってきなよ。健さんのとこ。」
「やだよ!!行かねーよ!!!翔真行って欲しくないって顔してんじゃん!!!バカじゃん!!」
「……」
「だから行かねーよ…」
「だって行ったらまたキスして帰ってくるんじゃないの?」
「ーーーー!」
「俺も自分の好きな子を他の男の元へ送り出せる程、広い心持ち合わせてないよ。」
得意のはずの平常心がもう保てずに少し怒った顔で言い放つ翔真を見て、
“最近翔真変じゃない?”
三上の心配したその言葉の意味が結城にもようやく分かった。
「キスなんかしねーよっ!!!っーかしてくんないのは翔真の方じゃんよ!!!」
ドンッ!と翔真の胸を押しながら言い放つ未茉に、
「白石…!もうよせって」
結城が間に入って止めようとすると、
ーーーーガラッ!
緊迫したその空間の扉が勢いよく開き、
「ん?なんだ。みんな揃って。」
リハビリが終わった涼しい顔をした健が絶妙なタイミングで病室に入ってきて、和希以外の四人の顔を見て言った。



