TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





「健兄は昔からそうじゃん。俺らの迷惑や心配はすっけど、絶対に自分の迷惑や心配を俺らや周りにはかけない。」

「うん…それは嫌っーくらい知ってけど……」

そこまでの故障だということにも気づかなかった自分にイラつくのと、夏のインターハイから一体どのくらいの症状だったのか…… 未茉は不安でならなかった。

人一倍プライドも高く、人一倍責任感の強い健が、今一番強くいようと弱ってる時なんじゃないかと思った。
(……だから最近あたしに好きだとか色々からかってきたんだ……)

“自分の怪我だ。和希もどのくらい長引くか分かってるはずた。”
あの台詞も、和希と自分を照らし合わせて出た言葉だったのかもしれない…と思うと苦しかった。

全てのつじつまが合うようで未茉の顔色が曇ってくのを翔真は見つめていた。
「……」
そしてその様子を三上も見つめてると、

「あたしやっぱ健兄のとこ…」と言いかけた時、翔真の存在に気づいた。

「…うん。」
まだ言いかけただけなのに翔真はそう頷いた。
その目を見た時に未茉はハッと気づいた。

「ちげーよ!健兄はあたしにとって兄貴だからこういう大事な時はあたしが側にいてやんなきゃ健兄壊れるかもしんねーし……」

「うん。」
そして翔真はもう一度頷いた。
いつもみたいな柔らかく穏やかな表情ではなく、やけに冷めた物分かりのいい表情だった。