……コロコロ……

とっさに離してしまった缶が転がってくも、
「わっ……と。」
引っ張られ膝をつきその腕の中へ抱き寄せられると、
「……」
目の前のすぐ数センチの距離の翔真と目が合うと汗で濡れた長い睫毛と上目使いに妙な色気を感じて未茉の胸の心拍をあげていた。

「なんかドキドキするじゃん……」

「俺も。」
壁に寄りかかったまま伸ばす両足の中にすっぽり未茉をおさめて、誰にも盗られないように両手でがっちり包み、

「ディフェンスしとこ。」
「完全にファウルだろそれ。」

翔真に突っ込みながら笑うと、ゆっくりおでこをくっつけて見つめ合う。
こんな些細な笑みで疲れがとれてくような、和らいでく表情はなんとも愛しく思え、どちらからともなく顔を近づけ、

ちゅっ、と本当に軽く一瞬すぎるキスをし合うと、
「パーソナルファウルだな。」

二人は顔を見合わせて笑った。